松尾大社は、京都でも古い神社です。5世紀頃、秦の始皇帝の子孫といわれる秦氏がこの地に渡来すると、松尾山の神を氏族の神として仰ぎ、701年に現在の地に社殿を造営しました。同時に新しい文化を開拓しました。
松尾大社の庭園は、昭和を代表する作庭家重森三玲の手によって設計され、「曲水の庭」「上古の庭」「蓬莱の庭」の3種類の庭を残しました。重森三玲最晩年の作としても知られています。
曲水の庭
曲水の庭は、奈良・平安時代に造られた曲水式庭園を思わせる構成の庭です。折り重なるような州浜とその間を流れる曲水の流れ、それから大小様々の石組みに皐月の大刈込がリズム良い風景を作っています。四方を建物に囲まれていますが、背の高は無く、上部が開けているため独特の感覚です。
上古の庭
上古の庭は、松尾大社の背後の山中にある磐座(いわくら)に因んで造られた庭園です。据えられた石は石組みではなく、神々の意思によって据えられたものであると重森三玲氏の説明があるとのことです。石を包むように配されたミヤコザサで高山の趣を表しているといいます。
蓬莱の庭
蓬莱の庭は、松尾大社の東側に位置する池泉回遊式庭園で、蓬莱の世界を表した趣になっています。龍門瀑の滝石組をはじめとする古典的な手法と池の護岸処理に見られる現代的な手法とを巧みに融合した構成となっています。重森三玲の設計後、長男の重森完途氏によって完成させられました。