大仙院は、室町末期に古岳宗亘和尚によって建立されました。作庭家は不明ですが、開基である古岳宗亘あるいは相阿弥によるという説があります。大徳寺内の室町期方丈建築の中では最も古い歴史があります。
大仙院の庭園は、方丈の北東側、書院の間に面して作られた30坪ほどの小庭がいちばんの見どころです。狭い空間に高密度に様々な石や苔が配されています。最も奥にある枯滝石組と不動石・観音石が空間の中心となって奥行きを与え、それを起点に、左側(北側)には亀島、右側(東側)には鶴島があります。枯滝から落ちた水は、階段上の石組みを流れ東西に分かれてゆきます。東側の流れは、石橋の下を流れます。庭全体の圧倒的に凝縮された自然の景観が楽しめる庭といえるでしょう。
書院の間の東側で渡り廊下の南側にあたる空間では、滝石組から流れ落ちた水の勢いは収まり、落ち着いた水の流れが表現されています。この空間での見どころは、なんといっても様々な角度から見て楽しめる船石ではないでしょうか。蓬莱山へ行くための船を表現した船石は、方丈建築とほぼ平行に置かれ、堂々と大海の中を進んでいるように見えます。