蓮華寺は、京都市左京区に位置する天台宗の寺院です。元々七条塩小路にあった西来院という浄土教系の古寺で、応仁の乱後荒廃・焼失したものを江戸時代初期の1662年に、加賀前田藩の家臣今枝民部近義が祖父の今枝重直の菩提のために現在の地に移し再興したものです。
蓮華寺の再興の際には、詩仙堂を造営した石川丈山、狩野派の画家狩野探幽、朱子学者の木下順庵、黄檗の隠元禅師木庵性瑫等の当時の著名文化人が協力しています。
池泉庭園
庭園は書院の東側から南側にかけて広がっており、特に東側に位置する池を中心とした構成が、蓮華寺庭園のハイライトとなります。作庭は江戸時代初期のものと考えられており、作庭家は再興に関わった石川丈山、もしくは小堀遠州系の作庭家ではないかと考えられています。
庭園の奥には湧水があり、「水」の字形にかたどられた「水字形」の池となっているのがひとつ特徴です。そして、池の左前方には亀島と鶴島があり、大きな石で組まれた亀島には、唐人帽丸形と呼ばれる石灯籠が据えられています。亀島は石橋で岸とつながり風景に適度なリズムを与えています。
池の右手前には珍しい舟石の姿がありますが、こちら側を向いた、浄土を此岸に見出す入船となっていることがうかがえます。舟石を置くほとんどの庭園では、出舟の形(向こう岸に浄土を見出す)となっていることから、蓮華寺の舟石は一層の稀少価値があることになります。
庭園の奥には蓬莱山を示す岩組が配されていることもポイントです。